サルベージ怪文:失楽園の感想編

2016年の感想

失楽園の第一巻を読んだ感想が"サタン超デカいな"だったし 五、六巻の感想と来たら"ラファエルセリフ長すぎ"だった。 これではまるで小学生ではないか。 失楽園をもう一度読んでみよう

下巻読んでないし

第一巻

全体的にデカい。悪魔たちが次々に登場するシーンは失楽園がアニメ化した時OPに使われてそう。

異教の神が容赦なく悪魔扱いされていくのは読んでてあまりいい気分ではなかった。その中でリンモンという悪魔(元は風と雨の神)が出てくるが、地獄のロシア大使リモンと何か関係がある?

あとサタンのカリスマ性は流石だけど、カリスマには神からの授かり物的な意味あるから彼も神の被造物にすぎないんだなって少し悲しく思った 本当はサタンたちは全員堕天使なんだけどメンバーに異教の神もいるからまとめて悪魔って呼んでるのもどかしい。

第二巻

一巻で淫らで邪悪と言われていたベリアルが堕天使達の中で最も容姿端麗で優美かつ雄弁、そして威厳に満ちている(ただしこれは虚飾)ということが明らかになる。淫語も丁寧に言ってそう。彼の非戦論は魅力的であり、わたしがもし彼らの仲間であれば賛成していただろう。

失楽園読んでるとサタンが格好良く見えてしまう。悪魔だというのに。 サタンが堕天する前自分の頭から産まれた自分そっくりの女の罪を愛しなかよしして、それで産まれた死が自らの母をなかよしして罪はおぞましい怪物を産む。多分彼らは遺伝子的にほぼ同一。ハプスブルク家も真っ青(青い血なのに)。

この作品は一神教の立場で書かれているから当然のように異教の神が悪魔扱いされてたりする それで今気づいたけど北欧神話要素出てこなくない?大体ギリシャとかローマ辺りの神話だしやっぱり時代が時代だから?

第三巻

神と御子が対話をするシーンは何か気持ち悪さを感じた。自分の作った存在に自身を賛美させることがわたしにはおぞましく思えてならない。

あとサタンが自分から率先して偵察に行ったのに、人類の為に率先して犠牲になるのは神ではなく御子なの、神が犠牲になれば元も子もないから?

サタンが「人間見たすぎて合唱抜け出して来た」的な事言っててウリエルが騙されてる辺り、疑おうとしなかったのが原因だと思うけど、天使にはある程度の自由行動が許されてたりするのかな。

それと智天使に化けたはずなのに熾天使のウリエルに対して敬語使ってない辺りサタンは熾天使だったんだなと思う。

第四巻

ついにあの「わたし自身が地獄だ!」のシーンが来た。彼の独白を読んでいると神が自分が作ったものに崇められるのをそこまでおぞましいと思えなくなった。 サタンは精神状態がまともではないけど、それでも部下達の為に己を犠牲にして使命を果たさなければならないの少し可哀想。

やーいアダム お前の髪色ヒヤシンス!!イーヴは美しい金髪だというのにお前は マジで何故ヒヤシンス?  あと作者はエデンの園を持ち上げる為に他の地を下げるのをやめろ 。途中でアスモダイオスが魚の匂いに魅了されたと書かれているが、魅了されたならエジプト方面へ逃げたりしないんだよな。

ガブリエルとサタンの会話はサタンが以前最も神に阿っていたことが明らかになる。それほどまで愛し(そして愛され)ていたのに何故こんな事になったのだろうか。 それはそうとサタンは1度目と2度目で言ったことをガラリと変えたのは良くなかったと思う。心象が悪い。

第五巻

これと第六巻はラファエルによりサタンたちが堕天する経緯が語られる。 本来なら絶対知り得ないサタンとベルゼブブとの会話をラファエルが当然のように話しているのが気になった。 アブデルはその名の通り神に忠実な天使で、周りの圧力に屈せず忠義を貫いたのは格好良かった。

その話をする前、ラファエルはアダムとイーヴと食事をする。トビト記では実際に食事はしていなかったが、失楽園ではした。ちなみに、天使にも自由意志があるのでどうやら自由行動が許されているらしいことが分かった。 これで第三巻で抱いた疑問が解決した。

第六巻

ついに良き天使と叛逆者の戦いが始まった。この巻のサタンはアブデルに先制攻撃を喰らい10歩退き(トールでも9歩なのに!)、ミカエルとの戦いでは剣をへし折られた上に、脇腹を抉られ、痛みに身を捩り転がるなどする敗北者だ。 ただその高いプライドが粉々にされるのには興奮した。

ミカエルのぶっ壊れ武器にぶっ壊されたサタンの武器 バーサクモーロックも敗走するし、アスマダイは第四巻と名前違うし負けてるし(ここのくだりでラファエルは自分のことを名前で呼ぶ)滅茶苦茶や。 その後サタンは大砲を開発し、天使に一泡吹かせてやる。この時のサタンの台詞は掛詞を多用して面白い。 

もう出ないと思ったベリアルがまた出た。凄くイキイキしてる 大砲を喰らった天使たちも対抗して山を投げる。そのまま無秩序山投げ合戦が始まり景観が損ねられる。 その後御子の雷によって叛逆者は諸共奈落の底へ堕ち、天に平和が戻る。 神が御子を作った理由が益々分からなくなった。何故こんな事を?