ブロッコリー
「一体どうしたものか」
ルシファーとその友人たちは辺り一面ブロッコリーに囲まれた森の中で迷っていた。
「オレたち、気がつきゃここで寝てたもんな。一体何がなんだか分からないって。」
ベルゼビュートがルシファーの心情を代弁した。
「ブロッコリーだと!食べて出ればいいのか?!ふざけるな!」
アスタロトは怒り心頭だ。
「そんなことをしてはいくら時間がかかるか…お前が起きる前に試したが燃えず、切ることもできなかった。」
ルシファーはアスタロトとは対照的に冷静だった。
「とりあえず出口を探そうぜ。何かあるかもしれないし。」
ベルゼビュートの提案で、三人は森を歩くことにした。
行けども行けどもブロッコリーばかりなので三人は段々不安に包まれた。
「本当にここはどこだ!何故私たちはここにいるんだ!」
アスタロトは心底うんざりしている。
この様子ではブロッコリーがしばらく食べられなくなりそうだ。
三人は歩みを止めて休むことにした。
「思ったんだが、これは夢ではないか?」
ルシファーが突然そんなことを言い出したので、ベルゼビュートとアスタロトはきょとんとした顔でお互いの顔を見合わせ、その後ルシファーをじっと見つめた。
「俺たちは気が付けばここで寝ていた。突然変な場所に移動するなんて普通はありえない。」
「だがそれは人間の常識だ。私たちは人間ではない。」
「何者かに召喚されたっていう可能性もあるかもな。こんな所どこの世界にもなかったけど…」
二人はルシファーの意見に反論した。
「確かに、お前たちの意見は正しい。しかし、夢以外にこの状況を説明する術はない!」
ルシファーはアスタロトの目を見た。
「テレポートの移動先は知っている場所ではならないと昔お前が言ったはずだが?」
次にベルゼビュートの目を見て、
「目覚めた所、もしくはその付近に、魔法陣はあったか?」
と言った。
「ならばどうやってこの夢から覚めるんだ?」
とアスタロトが尋ねると、ルシファーは頬をつねって空を見上げた。
「人間たちは頬をつねると夢から覚めるようだが、この夢はそんな浅い夢じゃないようだ。」
そして、こちらを向いて、
「不思議の国のアリスを知っているか?