サルベージ怪文:蚕の詩編

"モグラと化した人類"(リメイク前)


その日、人類史上最大の火が天から落ちてきた。

人々は逃げ惑い、地上から消え去った。

彼らが消えた先の地中では、人間の営みは絶えてはいなかったが、

残された人工物は朽ち果て、そこはかつてのように動物の楽園となった。

置き去りにされた蚕は、人間がいないと生きられないので絶滅した。

"天の火" (リメイク後)


おお、いと巨大なる天の火よ!

汝は我らが故郷たる地上を焼き尽くし、我らを地下へ追いやった。

我ら去りつ後の地上は人類の面影既に無く、

全ては動植物の跋扈する自然に帰した。

惰弱な蚕も、鳥の餌となり消滅した。