悪夢
山瀬夕陽は、最近悪夢に悩まされていた。
悪夢の内容はいつも同じで、地面から生えた足に攻撃されるというものだ。
何故このような悪夢を見るのかは分からない。
毎晩毎晩見てしまうので、山瀬夕陽は眠りたくないのだ。
しかし、睡魔には勝てず結局寝てしまい、結局悪夢を見るのだ。
睡魔には決して勝てない。しかし、悪夢は見たくない。
山瀬夕陽は仲の良い友人、山本蒼生に相談した。
「最近毎日悪夢を見てしまうんだ。寝ると必ず。できれば悪夢じゃなくて普通の夢を見たいんだけど、どうすればいいの?」
「それは悪霊の仕業だね!このお守りを枕の下にしまって寝れば、悪霊が退散するよ!」
そういうと山本蒼生はお守りに似たものを手渡してきた。
「うん…。試してみるよ」
そして夜になった。
山瀬夕陽は枕の下にお守りをしまって寝た。
夢で山瀬夕陽はまた今日も同じ悪夢か。お守りの効果はあるの?と思った。
いつものように地面から足が生えてくる。
山瀬夕陽はその足から遠ざかろうと逃げる。
しかし、いくら逃げても足は高速で追いかけてくる。
「ひいっ…一体私が何したってんだ!」
山瀬夕陽はとうとう走り疲れて立ち止まった。
足が山瀬夕陽の周りにうようよと集まる。
助けを求めてふと見ると、足の向こうに人影が見えた。
「助けてー!向こうの人ー!」
手を振って必死に助けを求める。
しかし人影は気づかない。
山瀬夕陽はどうしようもなくなって地面に生えた足を蹴り始めた。
「何なんだよ!何で集まってくるんだ!向こうの人助けて!」
蹴りながらもなおも人影に助けを求める。
すると、人影がようやくこちらへ近づいてくる。
その顔には見覚えがあった。
「あ…あんたは!山本蒼生!!どうしてここに!」
山本蒼生は山瀬夕陽を助けようとせず、ただじっと見つめている。
「山本蒼生!この足たちをどうにかして!」
よく見ると、山本蒼生の顔はにやにやとほくそ笑んでいた。
「何で笑っているの!ああ足邪魔!」
地面から生えた足を蹴散らして、山瀬夕陽は山本蒼生のところへ行った。
「はぁ、助かった。でも山本蒼生。何でただ見ているだけだったの?」
すると、山本蒼生の顔は更ににやにやとして、まるでチェシャ猫のようだった。