「山本蒼生、何で笑ってるの?何かおかしい?」
「ふふふふ、はははは、おっかしい!」
突然山本蒼生は狂ったように笑い出した。
「何さ、本当に何がおかしいんだって!」
「ははは、お前が足に襲われながら助けを請う姿さ!」
「それがおかしくて笑ってたの!?あんたのほうがおかしいようだね!」
「そうさ、そうさ!お前の無様な姿で笑ってたのさ!」
「何だって!それを見るためだけにわざわざ夢にまで出てきたの!?」
「ああそうだとも!本当に愉快だったさ!」
山瀬夕陽は山本蒼生が自分の姿を無様と言って笑うのにひどく腹が立った。屈辱だった。
自分が味わった屈辱を味わわせてやりたい。そう思った。
「私のことを助けなかったくせに、なにが愉快だよ!」
「助けるわけないじゃん!愉快な見世物の邪魔を普通する?」
ここで山瀬夕陽の苛立ちは頂点に達した。
しかし、山瀬夕陽はすぐに手を出さなかった。
足元に先ほど蹴散らした足たちがいるのに気付いたからだ。
山本蒼生はそれに気付かず、喋り続ける。
「あ、黙った。やっぱり水を差しちゃ駄目だもんね、普通分かるだろうに。
お前は普段から滑稽だったよ。だから悪夢を見せて、助けを請うのを待った。
そこであのお守りの登場さ。あの中は俺の髪の毛を数本入れているんだ。
だからお前の夢に出てこれて、あの非常に愉快なショーを鑑賞できたって訳さ。
あの足も元は俺が作り出したものさ。小道具ってやつだ。
…お前何で黙ってるんだよ。あのショーを体験した感想を言」そこで言葉は途切れた。
何故なら、山瀬夕陽が山本蒼生の反対側へと走っていったからだ。
「何だ。逃げるのかよ。あまりにもひどい嫌がらせに心が傷ついたか?」
山本蒼生は地面から生えた足がすぐそこにいることにまだ気付かない。
地面の足たちは山本蒼生を敵と認識したのか、攻撃を始めた。
「何だ!何だお前たち!生みの親に逆らうっていうのか!」
そんな罵声が聞こえる。
山瀬夕陽はそれを気にせず、どんどん遠くへと離れて行った。
目が覚めた。
すっきりとしたいい気分だ。こんな気分は久しぶりだろう。
学校へ登校すると、山本蒼生はいなかった。
悪夢にうなされて起きてこないらしい。
もう悪夢にうなされる必要もなくなり、山瀬夕陽はほっと一息ついた。
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-後書き-
この作品のテーマはタイトルの通り裏切りです。
友達の名前を好きなキャラなどの名前にしていたらごめんなさい。
長いため二つに分けられていたので統合しようとしたら、やはり長かったので二つに分けました。