ハム銀河-27号
山瀬夕陽は宇宙旅行でハム銀河-27号へ来ていた。
ハム銀河-27号はエビフライ佐藤の故郷だった。
山瀬夕陽はハネムーンで、エビフライ佐藤とハム銀河-27号の名所を観光した後、エビフライ佐藤の実家に泊まり、
翌日また別の銀河へと旅行するのだ。
ハム銀河-27号と銀河系は比較的近いので、宇宙船で行けば六時間ですむ。
しかし科学の進んだ現在では、宇宙船は使用せずワープ装置を使用するため、すぐに到着できる。
そのため、今や宇宙船を使う人は殆どいない。過去にこだわる人もワープ装置を使うようになり、一部の宇宙船愛好家しか使わないようになった。
しかし、山瀬夕陽は今時珍しく宇宙船で旅行をしていた。
山瀬夕陽曰く、
「ワープ装置じゃ、宇宙船からの素敵な景色が味わえないわ。それと、宇宙船は時間もお金もかかるけど、その分最高の景色も見られるし、ワープ装置よりは安いから宇宙船に乗るの。」
景色よりも利便性を追求した現代人は、割高で維持費もかかるワープ装置を一家に一台置いている。
そのため宇宙船の利用者が減り、価格も安くなり、山瀬夕陽には都合のいい時代になった。
「ねえ、エビフライ佐藤。もし、宇宙船がこの世から消えて、移動手段がワープ装置だけになっていたらどうする?」
山瀬夕陽は観光中に見つけたカフェで、ふとこう言った。
「貧乏人は旅行しにくくなるな、その頃には価格は安くなっているだろうが…。」
エビフライ佐藤もシャトルが好きで、個人宇宙船を所持し、自分で操縦している。
ハネムーンの移動も、全て彼の宇宙船を使用しているのだ。
「私は悲しい。あなたの宇宙船にもう二度と乗れなくなるなんて。」
山瀬夕陽にとって、エビフライ佐藤との出会いは運命の巡り会わせだったのだ。
「大丈夫だ。生きている限り決して宇宙船を捨てることはない。」
「本当?」山瀬夕陽は嬉しそうに微笑みながらそう尋ねた。
「本当だ。お前くらい好きな宇宙船を決して捨てるものか。」
山瀬夕陽は喜びのあまりエビフライ佐藤をきつく抱きしめた。
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-後書き-
近未来SFの恋愛小説です。宇宙船やワープ装置が一般化している時代です。
今はまだワープ装置は実現すらしていません。実現したらぜひ使いたいです。
ハム銀河-27号は適当に考えた架空の銀河です。途中から殆ど関係なくなりました。
恋愛小説は、書いているだけで恥ずかしくなります。